<聖夜に魅かれて 部活×音楽×神様 ストーリー>

こんにちは、やまだふじもです。

 

クリスマスシーズンに、入りました~。

本日はクリスマスにちなんだ本の紹介をさせていただきます。

『聖夜』 佐藤多佳子(作) 文藝春秋

 

ちょっとネタバレになる紹介なので、それが嫌な方は読むのをご遠慮くださいね。

 

(あらすじ)
主人公は高校生男子 鳴海一哉。

キリスト教牧師の父、元ピアニストの母を持ち、生まれた時から神への信仰と

教会音楽が、日常の食べ物のように身近にある環境に育ちます。

母親に可愛がられ、幼少期からピアノやオルガンの手ほどき受け、母子べったりの蜜月期間を過ごしていました。

ところが、主人公が小学校高学年に、異変が起きます。

それは、母との衝撃的別離。

これにより、主人公は、神への不信、母への怒り、悲しみ、と同時に

激しい思慕を募らせながら、日々を送ることになります。

母との辛い別離は、その後の人間関係に、蔭を落とします。

学校のクラスメイトとは、だれと仲良くなるでもなく、かなり距離をおいて、つき合うスタンス。

しかしながら、母の愛した音楽は捨てきれず、高校は、オルガン部という特殊なクラブに所属。

この特殊なクラブは、主人公が通うキリスト教私立学校で、礼拝行事に弾くオルガンの奏楽者育成をはかるため、創設されたもの。

物心つかないころから、教会音楽に慣れ親しみ、ピアノやオルガンを触っていた主人公にはまさしにうってつけのクラブなのですが。

教会音楽は、母を思い出す重い十字架として存在していました。

 

清く正しく誠実に生きてきた父と自分をあっさり捨てた母。

母に対する想いは複雑で、悲しみ、許しがたい怒りを持ちつつ激しく面影を追いかけます。

 

女性不信のかたまりで、クラスメイトや部勝仲間とも距離をおいていたのですが、

音楽を通し、次第に、人のあたたかさや繋がりを感じられるようになっていきます。

ラストは、仲間と讃美歌を唱和するシーン。

主人公の明るい未来を予感させる いい感じの着地で、あたたかい気持ちになれました。